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  • 2017-12-19
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21世紀の国富論

 「市場原理主義」への批判からか、一時期盛んに話題となったコーポレート・ガバナンスや、「会社は誰のもの」といった話がすっかり聞かれなくなった。とはいうものの、資本主義の制度で株式というものがある以上、企業を取り巻くステークホルダーとの関係の中で、株主を無視、あるいは軽視していいというわけではないと思う。また一方で、過去5〜10年位のあいだで世界経済が成長してきたフレームワークの見直しも求められている。ということで、たまたま目についた「21世紀の国富論」(原丈人)という本を読んでみた。

読み始めは、正直すこしずっこけた。「『モノ言う株主』=グリーンメーラ、ハゲタカ、短期の売り抜け最大の目的」といった単純な図式にのった論調が続いた後、PUC等彼の得意とする情報技術分野の説明が続いた辺りで、「どこが国富論なんだろう?」と読むのをやめようかと思った位だ。

薄い本だし文字数も多くないのでそのまま読んでいくと、段々と彼の主張がわかってきて面白くなり、最後まで一気に読み終えた。確かに、国の経済に豊かさをもたらすには、「新しい技術」で新しい産業を生み出さなければならず、そこでベンチャーキャピタルの果たす役割は非常に大きい。そして日本と米国のベンチャー企業やベンチャーキャピタルに対する態度・姿勢の差は非常に大きく、それがそのまま90年代以降の日米の生産性の格差につながっているのかもしれない。数字だけは世界第二位のGDPを誇る日本が、その大きさにふさわしい世界への貢献をするためにも、世界の経済に豊かさをもたらす「技術」を日本発でつくっていかなければならないというのは、まさに彼が書いている通りだと思う。

ただ一方で、今(当時?)の株式市場や「モノ言う株主」の行動がベンチャーキャピタルにとってよほど望ましくなかったのだろう、アグレッシブで問題があったかもしれないヘッジファンドと株主をひとまとめにして一刀両断し、投資家がリターンを求めることを否定する主張に見えてしまうのは残念だ。本来長期投資をするはずの年金などが何故四半期毎のリターンを求めるのか、そういったところに踏み込まないと、単にベンチャーキャピタルへの優遇を求める「うすっぺらい」主張に見えてしまわなくもない。

 自らの理想とする社会のあり方を目指し、必要と思われる技術を育て、必要と思われる形に制度や仕組みを整えていくこと。それが実業家として、またベンチャーキャピタリストとして私がこれまで行ってきた、そしてこれからも行っていくべき仕事だと考えています。

と書いているが、自らの理想を実現するための「道具」としてこの本が書かれているとすれば、全体のコンテクストも納得がいく。

ちなみに「モノ言う株主」を批判するところで以下のように書いている。

 「モノ言う株主」の要求通りに資産をスリム化し、内部留保を配当として吐き出してしまえば、企業はリスクが高くてもやらなければならない研究開発や、思い切った中長期の投資ができなくなり、先細りとなります。
 
確かに正論だし、原さんがやられているベンチャー・キャピタル、特にIT系のそれなんかはまさにそうだと思う。でも、リスクが高い研究開発や中長期の投資をやらないにもかかわらず、現預金をバランスシートに溜め込み続けた会社も多いし、実際、スティール・パートナーズとプロキシー・ファイトをしたブルドック・ソースなんかはその典型例ではなかろうか。「モノ言う株主」を全否定してしまうと、そういった企業の経営者の行動まで正当化しまって、資本がそういったところで「無駄に寝てしまう」のではないだかろうか。そして「無駄に」資本が使われてしまうと、「本当に」経済の成長を促す研究開発や投資をしたいと思っているところに十分資本が行き渡らなくなってしまう可能性もあると思う。

さてベンチャーキャピタリストについて以下のように書いており、ウォーレン・バフェットが言っていることと同じ様なことだなと気付いた。

 「リスク回避」という言葉を聞いて多くの人が思い浮かべるのは、投資のポートフォリオなどに代表される「リスク分散」という手法でしょう。しかし新しい技術を育てていくベンチャーキャピタリストの手法はむしろ「一点突破」型であり、集中的に資源を投下しなければなりません。あらゆる困難を想定して処方箋を準備するのはもちろん、予期しないことが発生すれば柔軟かつ機敏に対応する。これが最最大のリスク回避策なのです。
 
不確実性を極力排除してひとつひとつのオッズを上げるか、不確実性は持ったまま分散投資して平均的なオッズを上げるかという議論だろう。しかし株式への投資というのは、その投資先がより事業(ビジネス)に近いものになればなるほど、そして投資資金が大きくなればなるほど、こういったやり方をとらざるを得ないのだと思う。

また、彼は以下のようにも書いていた。

 産業によって優れた製品を生み出し、お金儲けをするだけではない。新しい時代に合った価値観を同時に発信していく。そのようなことができて、はじめて日本が本当の意味で「世界から必要とされる国」になるのです。

ジャパン・パッシングと揶揄されることがない、「世界から必要とされる国」として日本が生まれ変わって欲しいものである。




tag: コーポレート・ガバナンス, 読書
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Author: hamachan

資産運用会社で働いています。株式市場とか、マクロ経済とか、思いつくままに覚え書きです。

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